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大阪土産として人気!「天満切子」
伝統のカットガラス美に魅了

アートのように美しい大阪生まれのガラス工芸品・天満切子

2022.10.07

近年、大阪土産としてじわじわと人気を集めている工芸品があります。赤や青の色のついたガラスの表面に文様を施した、いわゆる“カットガラス”である切子です。
今回は、天満にある切子工房RAUから生み出されるオリジナルブランドとして2000年に誕生した「天満切子」を紹介します。2019年に開催されたG20大阪サミットや大阪への万博誘致などで贈答品として使われた実績のある逸品。その鮮やかさやデザインは、見るだけでも美しいのですが、使ってこそ良さが分かるという天満切子の魅力に迫るべく、工房を訪ねました。

唯一残ったガラス工場で天満切子誕生

大阪天満宮の蛭子門横にたたずむ、ガラスが埋め込まれた「大阪ガラス発祥の地」の碑。天満界隈で江戸時代中期にガラスの製造が始まり次々と工場ができると、水運の良さも手伝い、一帯はガラス産業の一大地としてぐんぐん成長していきました。時代の移り変わりとともに工場は次第に稼働しなくなり、そんな中、ただ1軒残ったのが宇良硝子加工所(現在の天満切子株式会社・切子工房RAU)でした。1933年(昭和8年)の創業時から、さまざまなガラス製品を生み出してきましたが、大阪にガラスを残そうと試行錯誤を繰り返して従来の切子と違う大阪独自の『天満切子』が誕生したのは2000年のことでした。

大阪天満宮南門の西にある「大阪ガラス発祥の地」

若手切子師たちが活躍

ガラスを削ったり磨いたり、ウイーンウイーンと機械音の鳴り響く工房。ここで6人の切子師たちがガラスに向き合っています。そのうちの一人、天満切子を生み出した先代の直系の後継者にあたる宇良大祐さんは、先代が亡くなったことでそのバトンを託されたとか。「ものづくりには興味があった」とのことで、ガラスに向かっているときの眼差しは、真剣そのもの。今までの天満切子にはなかった斬新なデザインを生み出すなど、新たな挑戦をしています。

天満切子職人の宇良大祐さん
定番のシンメトリーを崩すデザインも

万華鏡のように輝く切子の美しさ

薩摩切子や江戸切子など、他の切子に比べて、ややシンプルなように感じられる天満切子。その特徴は従来の切子と違い先が尖っているV字ではなく、丸みのあるU字の刃を使って削っていくことにあります。そのため、描かれる線が柔らかい印象に。もともと透明なガラスに色をつけた色被(き)せガラスを削ってデザインを作りますが、面積を広く削ることで透明な部分が多い仕上がりになることもあります。「一見シンプルですが、色の少ないデザインの方が使うときにより美しく輝くんです」と代表の宇良孝次さん。

天満切子ロックグラス【二十四縞】 輝きと透明感が美しいロックグラス【二十四縞】

それが、どういうことなのか、水を注いでもらうと・・・それまでは見えていなかった世界が目の前に広がりました。というのも、水が入ったことで側面の削られた部分が凹レンズのようになって底の模様が映し出され、また水の反射も伴ってキラキラと輝き出します。水を揺らすとさらにそのキラキラ度が広がり、その輝きは、まるで万華鏡!もうずっと見ていたくなるくらいですね。
高価な天満切子ですが、ただ飾っておくのではなく「使ってこそ、その美しさが際立つ」というのも納得です。長く愛用できて楽しい時間を共にする品として最高の魅力ではないでしょうか。

水を入れる前(上)と入れた後(下)

水を入れる前(上)と入れた後(下)よく見ると、ガラス側面の凹部分にさらなる模様が映し出されてます☆ 写真よりも実物をみると模様がくっきり浮かんでくるので、ぜひ実際のグラスで試してみてください。

天満切子を手に取って選ぶ

最近では、百貨店の催事などで紹介されると、問い合わせが殺到するほどの人気となった天満切子。取扱店も増えてきましたが、たくさんのデザインの中から選べるのが、切子工房RAU直営の「天満切子Gallery」。Osaka Metro天満橋駅から徒歩約5分、大川にかかる天満橋を渡ったところにあります。今は、グラスのみを作っていますが、かつて作られたプレートや花瓶なども飾られ、切子の美しさが楽しめる空間。ここでは、実際に水を入れる実演もしてくれるので、使うシーンをイメージしながら選ぶこともできます。また、一つ一つが手作業なので、同じデザインでも何となく違って見える表情も楽しめます。
お土産やギフトに…と訪れても、ついつい自分の手元にも欲しくなってしまいそうですね。

切子工房RAU直営の「天満切子Gallery」
さまざまな天満切子のグラスが並ぶ

ちなみに、この天満切子Galleryへと続く天満橋は夜になるとライトアップされますが、天満がガラス発祥の地であることから、ガラスの切子模様をイメージして作られたようです。
とても美しく連なる光のラインだなぁと思っていたら、天満切子の光だったのですね。地域文化がこんなところにもと、ちょっと感動してしまいました。
ぜひ、こちらも注目してみてください!

©(公財)大阪観光局

紹介したスポット

天満切子Gallery

[アクセス] 「天満橋駅」2号出口から徒歩約5分
[営業時間] 火曜~金曜日13:00~19:00
土曜・日曜、祝日11:00~19:00
[定休日] 月曜