美しい日本の道具に出合える
包丁や食器の宝庫・千日前道具屋筋商店街
2023.09.08
Written by: リナ(rina)
● 千日前道具屋筋商店街の歴史
串カツやたこ焼き、お好み焼きなどご当地グルメが豊富な「食い倒れの街・大阪」。
大阪の中でも数多くの飲食店が集結する『なんば』には、調理道具や厨房器具なら驚きの品揃えを誇る「千日前道具屋筋商店街」があります。
歴史は古く、法善寺がある千日前から、四天王寺の弘法大師の月命日「お大師さん」や、十日戎で知られる「今宮戎神社」への参道として、古道具屋や雑貨商などが立ち並んだことが「道具屋筋」のはじまりといわれています。その後、問屋や製造業などの専門店が増えていき、大阪の料理人を支える商店街として発展しました。
現在は、アーケードが設置されて約150mの長さの商店街になり、食器や包丁、鍋、フライパンなど定番のキッチン用品から、たこ焼き器や食品サンプルまで見つけることができます。
料理好きの人にとって天国ともいえる道具屋筋商店街で、職人さんの手でつくられた日本ならではの道具をご紹介します。
● 2000種類以上の包丁・はさみの専門店「堺一文字光秀」
道具屋筋商店街へのアクセスは、最寄り駅のなんば駅から徒歩約5分。なんばグランド花月のすぐ横と、なんさん通りに面した2つの商店街の入り口があります。道具屋筋の「道」の漢字が目印になっているので、一目で分かりやすい。
初めに訪れたのは、包丁やはさみなどを取り扱う刃物専門店「堺一文字光秀」。
店の入り口で光り輝く日本刀は、先祖代々受け継がれてきた名刀一文字成宗なんだそう。日本の包丁は切れ味がよくて長持ちすると世界中で人気がありますが、この切れ味の良さは日本刀の技術が受け継がれているからなんです。
店内は見渡す限り、さまざまな種類の包丁が美しく陳列されています。その数は、なんと2000種類以上と驚きの品揃え!
中でも外国人に人気が高いのは、肉・魚・野菜の3用途に使える日本の万能包丁、「三徳包丁」です。おすすめは、上から「一文字 漣 V10槌目ダマスカス 三徳包丁」と「一文字 粋 白二鋼 黒染め 和式三徳包丁」。どちらも職人さんが手造りした感じがよくわかる自然なデザインが特徴で、高級感があります。
独特な木目模様が特徴のダマスカスは、2種類の硬度の違う鋼材を何度も重ね合わせて造られたもの。職人によって鍛え上げられてできた美しい模様は二つとないオンリーワンの包丁で、特別感を味わえます。
一方、黒染めはその名の通り、包丁の表面が黒く光り、とてもクールな印象です。デザイン性もさることながら、その切れ味や刃の持ち具合も抜群だそう。
また日本製のキッチンはさみも、見た目はシンプルですが抜群の切れ味でおすすめ。試しに紙を切らせてもらうと、スッと刃が引っかかることなく気持ちいいほど簡単に切れました。
その他、包丁のメンテナンス用品の砥石も充実しています。硬さが異なる人造砥石だけでなく、限られた場所でしか採れない貴重な天然砥石のコーナーも。スタッフさんがぴったりな砥石の選び方や研ぎ方も教えてくれるので、包丁と合わせて購入できます。
嬉しいサービスとして、購入者は無料で包丁に名入れも可能!外国人の方でも、漢字の名前を当て字で入れると、自分だけの特別な1本になりますよ。
またホームページは、英語・フランス語・イタリア語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)の多言語対応。海外からもネット購入することができるので、大阪に来られない人もぜひチェックしてみてください。
● 色鮮やかな漆塗りの食器やお箸なら「大阪漆器」
続いては、漆器やお箸などを取り扱う「大阪漆器」へ。店内は、気軽に立ち寄れるオープンな空間で、たくさんのお椀やお箸、お重などがきっちりと並べられています。
漆器とは、ウルシの木から採取される樹液(生漆)を精製した塗料を塗り重ねて作る食器のこと。主に展示販売されている漆器は、樹脂製の物に樹脂塗料を塗った業務用漆器で、和風のレストランや旅館で使われていることが多いので、見たことがある人も多いのではないでしょうか。
お土産に人気のお箸のコーナーは、300種類以上の品揃えとなっています。毎日違うお箸を使えるくらいの種類の多さにびっくりします。
これだけの種類があったら、一つ一つのデザインを見ていくのも楽しい♪税込99円からという価格の安さも魅力的なので、お土産にたくさん購入できますよ。
ペアで購入できる夫婦箸も種類豊富。珍しい金ピカなものまで!
お箸の反対側には、バラエティー豊かなお椀がずらり。形も色もそれぞれ違うので、コレクションしたくなりますね。
日本の伝統的なデザインの市松模様のお椀もすごく素敵です。こういった日本風の食器で食べる和食は、一段と美味しく感じるでしょうね。
さらに高級なアンティークの漆器も人気があります。
ツヤのある光沢が美しく、細かなデザインはまるで芸術品のよう。眺めているだけでも、雅な気分を味わえて、目の保養になりますね。
美しい食器を眺めていると、おいしい食事には見た目も大切だと改めて気づかされます。
日本の食文化を感じられるお店となっていますので、自分へのご褒美やお土産におすすめですよ。
● 現代の名工の技にふれる「南部鉄器 幸工芸」
最後は、世界中に人気が広がっている伝統工芸品・南部鉄器の製造元直売店「幸工芸」をご紹介。
南部鉄器とは、岩手県の盛岡市と奥州市が発祥の鉄鋳物を総称したもので、それぞれ歴史が異なります。幸工芸では、平安後期(1086〜1180年)から続く伝統技法を今に受け継ぎ作られた、鉄瓶や茶の湯釜を取り扱っています。
店内に入ると、数多くの鉄瓶や湯釜が展示されています。どれも重厚感あふれる、趣のある作品ばかりで、気が引き締まります!
また幸工芸は、南部鉄器の伝統工芸士・佐藤勝久氏の作品の直営店でもあります。佐藤氏は、現在の南部鉄器伝統工芸士の中で唯一、卓越した技術が表彰される「現代の名工」となった人物であり、2004年には「黄綬褒章」も受章しています。2015年にはローマ法王に作品を献上した実績もあり、まさに南部鉄器の匠を代表する存在なんです!
ローマ法王献上作品「虫喰古代肌」
南部鉄器といえば、表面に「霰(あられ)」と言われるブツブツの突起があるものが伝統的ですが、佐藤氏の作品は独自性のあるデザインが施されたものが多いそう。
特に「虫喰い」という高度な技法が代表的で、こちらの作品は表面の淵や取っ手の部分に、長年使い古して自然にできたような虫喰いの穴が施されています。薄くて滑らかな注ぎ口や、すっと持ち上がる軽量な鉄瓶に仕上がっているのも名工の技が光るポイントです。
虫喰いの技術が光る「虫喰鶴首肌」
こちらは希少性のある砂鉄でつくられた砂鉄瓶といい、重厚感のある鉄の質感が感じられます。桜の模様があしらわれていて、とても日本らしいデザイン。
その他、ヨーロッパを中心に人気のカラフルな南部鉄器もありました。これらは奥州の工房でつくれられたものです。保温性が高い上にインテリアとしてもおしゃれで、普段のティータイムが素敵な時間になりそうですね。
こちらも素敵!南部鉄器の風鈴もとても可愛らしくておすすめ。
ガラスの風鈴よりも柔らかく、高く澄んだ音が響き渡り、ヒーリング音楽のような癒やしの音色です。お家に一つ飾ってみるのもいいですね。
● 一生モノの道具を探してみて
千日前道具屋筋商店街で見つけた、日本の美しい道具たち。丁寧に手入れをすれば長く使えるので、ぜひ一生ものの道具を探しに来てみてください。
使えば使うほど愛着がわいてきて、暮らしをより豊かに彩ってくれるはずですよ。
※掲載情報は2021年10月8日のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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紹介したスポット
千日前道具屋筋商店街
[アクセス] 「なんば駅」4号出口から徒歩約5分
「日本橋駅」5号出口から徒歩約8分
[営業時間] 店舗により異なる
[定休日] 店舗により異なる
堺一文字光秀
[アクセス] 「なんば駅」4号出口から徒歩約5分
「日本橋駅」5号出口から徒歩約8分
[営業時間] 9:30-18:30(平日)
10:30-18:30 (土日祝)
大阪漆器
[アクセス] 「なんば駅」4号出口から徒歩約5分
「日本橋駅」5号出口から徒歩約8分
[営業時間] 10:00~18:00
幸工芸 千日前道具屋筋本店
[アクセス] 「なんば駅」4号出口から徒歩約5分
「日本橋駅」5号出口から徒歩約8分
[営業時間] 10:00~18:00
[定休日] 水曜日
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