大阪・心斎橋の日本茶専門店「宇治香園」で玉露を味わう

海外でも大人気!日本茶の神髄を知る
創業155年の老舗、日本茶専門店「宇治香園」

2021.08.27

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Written by: TK(TK)

● 日本茶のことならお任せ!「宇治香園」

お茶の香りに包まれてホッと一息…。選び抜かれた茶葉で丁寧に淹れた日本茶を味わえる専門のカフェがここ数年増えています。今回、私は“至極の一杯”を求め、心斎橋筋商店街にある老舗「宇治香園 大阪心斎橋店」に行ってきました。

宇治茶の産地・京都山城でお茶問屋として慶應元年(1865年)に創業した「宇治香園」。150年以上の歴史を持つ老舗が営む日本茶専門店・喫茶が心斎橋筋商店街の中にあります。こちらのオープンがなんと昭和21年(1946年)!当初は物販のみでしたが、2003年に改装し、喫茶スペースを併設した現在の形になったそうです。

宇治香園 大阪心斎橋店の外観

缶やペットボトル入りの緑茶飲料が出てきて「買って飲む」ことが当たり前になったのは1990年代以降なので、日本茶を出す喫茶というのも当時は珍しかったのでしょうね。歴史を感じる佇まいです。

● 喫茶は心斎橋のど真ん中に佇む静かなオアシス

早速店舗の奥へと進むと…賑やかな商店街の中とは思えない落ち着いた喫茶スペースが!カウンターがメインの空間にドキドキしちゃいます。

今回は特別に大阪心斎橋店 店長の浅井さんがお出迎え。本当においしい日本茶を味わってほしい、そんな思いから始めた喫茶で、メニューもお茶とお菓子のみとシンプルにしたそう。難しいお作法は無いので、ゆったり楽しんでくださいと言っていただいて一安心。

宇治香園 大阪心斎橋店 店長の浅井さん

高級茶の代名詞!玉露を注文します。使うお湯は鉄釜で熱されたもの。日本の軟水はそのままでも十分おいしく頂けますが、鉄釜や鉄瓶を使うとよりまろやかな味わいになるのだとか。釜から移した湯を適温になるまで待つ、この時間も贅沢ですね!

玉露を淹れるのに使うのが宝瓶(ほうひん)というもの(写真中央)。少量のお茶を飲む際に使われる茶器です。待つことさらに2分…時間を正確に測るために砂時計を使っています。

玉露などに使う宝瓶

こうして目の前で淹れてくれるのは嬉しいですよね。最後の一滴までおいしさを逃さないように、丁寧に丁寧に注ぎます。

よく玉露は旨味が強い、青のりのような香りがするとか、口当たりがとろりとしているって言われるけど、それってどんな感じ?って思っていた私。一口含んでそれが何なのか、よくわかりました。しみじみおいしい。一口目のお茶の味がダイレクトに伝わる濃厚な深くまろやかな広がり、コクのある強い甘味を頂いてからの印象の変化…ゆっくりじっくり噛み締めるように味わいました。

玉露と季節の和菓子

さらに二煎目を。抽出時間は短めの20秒。宝瓶は慎重になりすぎるとお茶がこぼれてしまうから、何回かに分けて思い切り注ぐのがコツです。一煎目との味の違い、あっさりした風味を楽しむのがツウな感じ!

喫茶では淹れ方のコツも教えてくれるので、お家でも実践したくなりました。

● 素敵な日本茶ライフへ、こだわりの茶葉探し

お茶選びで聞きたい!Q & A

喫茶でまったりした後は自宅で楽しむお茶選び!ここ宇治香園では京都府産を中心に日本各地の茶葉を扱っています。引き続き店長の浅井さんにご案内いただきました。
宇治香園 店内

Q1: 迷ったときにおすすめなのは?

煎茶 天恵です。煎茶を淹れ慣れていない方でもおいしく召し上がれるんです。優しい甘みと飲みごたえのあるコクが楽しめるお茶で、ティーバッグタイプもありますよ。
宇治香園の様々な種類の煎茶

Q2: 淹れやすいお茶とそうでないお茶ってある?

熱湯でさっと淹れるほうじ茶や玄米茶は比較的簡単です。それに対して丁寧に淹れるとおいしさが際立つのが煎茶です。煎茶をおいしく淹れるコツは①茶葉の量 ②お湯の温度と量 ③抽出時間の3つ。苦味・渋味・旨味・甘味のバランスを味わえるのは煎茶ならではの魅力ですね。パッケージに書いてある淹れ方を参考に自分だけのおいしさを見つけるのもおすすめ。スタッフにもお気軽にお尋ねください。煎茶でもティーバッグなら初めての方も簡単に淹れられますよ。

Q3: 季節限定のお茶といえば?

新芽の萌える初夏に販売される新茶のほかに、秋の“蔵出し茶”があります。新茶と同じ時期に摘み取った茶葉を熟成させたもので、昔は本当に蔵で熟成させていたことから、そう呼ばれています。香りや風味を楽しむ新茶に対して、蔵出し茶はまろやかさが特徴です。

Q4: フレーバーティーってどんなお茶?

宇治香園では、桜・桃・柚子の3種のフレーバーティーをご用意しています。いずれも煎茶がベースで、乾燥した桜の花、桃の果肉、柚子の皮をブレンドしています。洋菓子との相性が良いお茶です。

Q5: ティーバッグのお茶っておいしいの?

手軽に飲めるのが魅力のティーバッグ。宇治香園では通常のリーフティーと同じ茶葉を使用しており、茶葉を細かくするなど短時間で味が出やすい加工をすることで、リーフティーと遜色ない味わいを実現しました。いろいろ試したい人や、リーフティーでは量が多くて飲みきれない人にもおすすめです。

宇治香園の種類豊富なティーバッグのお茶

Q6: 持ち歩き・マイボトルに向くお茶は?

お湯で淹れると時間経過とともに味が変わってしまうので、水出しのお茶がベスト。夏は水出し専用の茶葉を販売していますが、基本的にはどのお茶でも水出しが可能です。外出先で熱いお茶が飲みたいなら、お湯とティーバッグを持ち歩くとよいでしょう。

夏にぴったり! 水出し茶のコーナー

このほかにも、店内奥のガラスケースには1本1万円するような高価な玉露や煎茶も!お茶を上手に淹れられるようになったら、チャレンジしてみたい上級者向けの逸品ですね。

高級な玉露と煎茶の茶葉

せっかくの機会なので、ティーバッグでいろいろ試してみたいと思い、私は定番の煎茶と淹れやすいほうじ茶、玄米茶、香りが気に入ったゆず緑茶に、和紅茶を購入しました!

煎茶や玄米茶、ゆずのフレーバーティー

白を基調にしたスタイリッシュなパッケージはギフトにもぴったりですね。今年の春には世界三大デザインコンペティションの一つ、iFデザインアワード2021を受賞したそうです。

● 至福の一杯をお家でも!おいしく頂くコツ

最後に、今回購入したティーバッグのおいしい淹れ方と茶葉の保管方法について教えてもらいました。

ティーバッグのお茶の淹れ方

①ティーバッグをお湯で少し湿らせます。こうすると香りが立つそうです。
②お湯を注いで30~40秒待つ。
③ティーバッグを30~40回振る。味を出す大事なひと手間です!

簡単ですよね。お湯の量と温度は茶葉に合わせて変えてくださいね!ちなみに、水出しの場合は冷たい水に茶葉を1時間浸すだけ。水は冷たいほど旨味や甘味が引き立っておいしいそうです。

保存方法

茶葉は光・湿気・においが大敵。ジップ付きの袋に入れて空気を抜いて密閉すると安心です。開封後は1か月以内に飲み切ること。茶筒に移す場合は香りが飛びやすいので1週間で使い切れる量を目安にしてください。

「日常茶飯という言葉に象徴されるように、お茶は日常的に楽しむもの。ここで日本茶の良さを体験して、ご自宅でも実践してもらえたら」――。お茶の魅力を伝え続けてきた浅井さんの言葉がとても印象的でした。
私もお家で至福の一杯と共に贅沢な時間を過ごせるように精進します!

紹介したスポット

宇治香園 大阪心斎橋店

[アクセス] 「心斎橋駅」6号出口から徒歩約3分
[営業時間] 店舗 11:00~18:00/喫茶 14:00~17:00(ラストオーダー 16:30)※テイクアウト用のメニューあり

[定休日] 火曜日・水曜日

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